うちの会社はアットホーム! その要素・背景やメリットについて

「アットホームな会社」って、実はすごい?

採用の場面でよく使われるフレーズに「うちはアットホームな会社です」があります。

この言葉には、「仲が良く、質問しやすい雰囲気ですよ」「人間関係が穏やかで安心できますよ」といったポジティブなニュアンスが込められています。

けれど、私は思うのです。アットホームと名乗るからには、「家庭のように社員を見守り育てる」意識があってもいいのではないか?と。

もっと踏み込んで、社員の生活や人生設計に目を向け、必要な知識や準備を促す存在であってもいい。実際に中小企業には、そんな“親のような会社”がたくさん存在しています。の会社はアットホーム! その要素・背景やメリットについて

事例:サラメシに見る“企業の家庭的な顔”

NHKの人気番組だった「サラメシ」では、ユニークな社員食堂の風景がよく取り上げられます。

  • 社長が作る“カレーの日”
  • 奥さんが腕を振るう“まかないランチ”
  • 月に一度の“ちょっと豪華な出前の日”

それぞれの施策には、以下のような3つの目的が垣間見えます:

  1. 体の健康(栄養のある食事)
  2. 心の健康(雑談や交流の場)
  3. 経済的健康(食費の負担軽減)

こうした取り組みは、単なる福利厚生ではなく、「働く人の人生を支える」というスタンスの表れです。

アットホームな企業とは“生活支援型”企業である

そもそも会社とは、社員の時間と労働力を預かり、その対価として給与を支払う存在です。

社員側は、その業務を遂行するために体力・気力を整えておく責任があります。

つまり、「社員が健康で、心も安定し、生活も回っていること」が前提となってはじめて、仕事は成り立ちます。

アットホームな企業とは、この前提の部分を手厚く支援している企業だと考えます。

一般的な取り組みには——

  • 家族を含めたライフイベントへの支援
    • 子どもが生まれたらお祝い金、誕生日休暇、結婚・出産祝いなど
  • 生涯設計への支援
    • 確定拠出年金(401K)制度の導入、ライフプランや老後資金の教育
  • 安心安全のための仕組み
    • 安否確認訓練や災害時の家族連絡体制
  • 健康への投資
    • 健康診断補助、メンタルサポート、予防医療への関心

こうした要素が“アットホーム”の中身であり、社員の土台を整える支援といえるのではないでしょうか?

障がい者雇用から学んだ“生活支援”の大切さ

かつて私が管理していた部署では、障がいを持った社員11名と一緒に仕事をしていました。

  • 軽度の知的障害のある方:8名
  • 精神障害+知的障害:1名
  • 精神障害:1名
  • 身体障害:1名

彼らの勤務態度に影響を与える要因として挙げられたのは、

  • 夜更かし・寝坊による生活リズムの乱れ
  • 病院でうまく説明できず受診が嫌になる
  • 恋愛トラブルや金銭管理の難しさ

つまり、仕事以前に「生活の安定」が重要だったのです。

対応策:日報に“個人サポート欄”を設ける

対応策:日報に“個人サポート欄”を設ける

そのチームでは、日報の中に個別支援の項目を入れていました。

  • 食費の上限管理(例:お昼を1,000円以内)+小遣い帳記入
  • 服薬管理(飲み忘れのチェックと自己申告欄)
  • 一人暮らし目標に向けての支援計画(地域支援者との連携)

「ここまで会社がするの?」と思われるかもしれませんが、こうしたサポートのおかげで遅刻や欠勤が減り、本人たちの働く意欲も高まりました。

行政の支援を活用すれば、そこまでコストや時間がかからない場合も多く、実際は現実的に運用可能です。

アットホームの本質は“社員を一人にしない”こと

今は個人情報の扱いが厳しく、踏み込みすぎには注意が必要です。 それでも、社員がよりよく働くために、“もう一歩だけ近づいてみる”マネジメントが必要な場面は多いのです。

それは、障がい者雇用に限った話ではありません。 外国籍の社員、介護中の社員、ひとり親世帯など、生活の事情は多様です。

「会社の枠」を超えて、社員が生活も仕事も両立できるように支える。

私の感覚では、親方っていう感じです。 
「おいおい、酒飲みすぎるなよ~」「明日早いんだから早く寝ろよ」

昔は、このような声掛けが当たり前にありました。 

こんな声掛けが、やりにくくなっているのなら、会社で仕組みとしてサポートする

それこそが、現代に求められる“アットホームな会社”の真の姿ではないでしょうか。

まとめ:「アットホーム」の先にある会社の可能性

・社員の健康を支える ・社員の家族を思いやる ・社員の将来に伴走する

こうした支援を「当たり前」にしている企業は、アットホームどころか、人生の伴走者として社員に信頼されます。

「うちはアットホームです」 その一言の中に、社員の人生への深いまなざしが込められているとしたら——

それは、最高の採用メッセージになるのではないでしょうか?