― 中小企業の人事に「抜けている2つの橋」―<

 多くの中小企業の経営者が抱える悩みのひとつに、
「採用しても人が定着しない」「リーダーが育たない」というものがあります。

「うちの会社にも人事機能は一通りあるはずなのに…」
 そう感じる方も多いのではないでしょうか。


一見“整っているように見える”人事機能

一般的な中小企業では、次のような仕組みが存在します。

採用の担当がいる
給与計算は事務担当が行う
賞与や評価は経営者や部長が判断
教育は外部研修や自己啓発制度に任せている
労務制度は社会保険労務士が整備している

確かに、これだけを見れば人事の仕組みは一通りそろっているように思えます。

しかし実際には、この構造の中に重要な「抜けている層」が存在しています。

抜けているのは「つなぐ層」と「方向づける層」

中小企業において多くの会社が見落としがちなポイントは、

次の2つの機能です。

つなぐ層 エンゲージメント・組織開発

これは、現場と経営をつなぐ“翻訳者”の機能です。

社長の意図が現場に伝わらないという課題と
社員のやる気が見えない、現場の声が上がってこないという問題 

これらを仕組みとして解決するのが組織開発という分野です。
コミュニケーションだけでどうにかしようとするものではありません。

欠けやすい理由:

  • 採用、給与、評価などの業務が分業的で、「人の声を横断的に拾う人」がいない
  • 経営者は数字(離職率・採用数)を見ているが、“なぜ辞めるのか”“なぜ続くのか”の定性分析がされていない
  • 部門長は現場の不満を知っているが、経営層に正確に伝える仕組みがない

結果、各制度が「バラバラに存在している」状態になります。
それぞれは動いているのに、“戦略”ではなく“対応”になってしまうのです。

エンゲージメント・組織開発の役割

組織開発は対応から戦略にするためにおこないます。
それは、人に関することを予測可能な状態にしていくことです。

  • 経営と現場の意図を翻訳するコミュニケーションオフィサー
  • 離職要因や定着要因の可視化
  • 心理的安全性・チーム関係性の改善
  • 組織文化や価値観の言語化・インナーブランディング

いままで、経営の意思が届かない 社長がどこまで現場に関与するのか?
そのような疑問はこれらの役割と管理する仕組みで解決することができるのです。 

方向づける層 戦略人事

もう一つのぬけている層は =「点」を「線」にして未来を描く機能です。

欠けやすい理由:

  • 日々の業務に追われ、未来の人材像や中期的な人員設計を考える時間がない
  • 経営者が人事戦略を考えるが、仕組みに落とし込む専門性が不足している
  • 社労士や外部講師は制度や研修単発には強いが、組織の方向性との整合性は担保しづらい

こういった理由が挙げられます。 

戦略人事の役割

経営戦略に沿った人材戦略(3〜5年先の人材像設計)

  • スキルマップ・人員計画・後継者育成
  • データに基づく人事判断(採用数、離職率、年齢構成など)
  • 「誰を・どう活かすか」を中長期視点で設計する

「2つの橋」を架ける支援

抜けている領域機能担うべき役割欠けるとどうなるか
🩵 エンゲージメント層現場と経営をつなぐ離職防止・文化醸成・信頼構築制度はあるのに人が辞める
🩶 戦略人事層経営と人事をつなぐ人材戦略・後継者育成・中期設計目の前対応で人が育たない

Heartenskyでは、この「抜けている2つの橋」を補う支援を行っています。

経営者とのコーチングセッションを通じてフォーカスポイントを明確化
その課題に対して経営の皆様との中長期確認や策定ワークショップ
さらに、そこから導かれた方針をもとに5YP(5年計画)策定支援へとつなげます。

単なる制度づくりではなく、
人と経営を「線」でつなぐ仕組みづくりが目的です。


まとめ

採用・給与・教育・評価――
どれも大切な機能ですが、それぞれが単独で動いている限り、
「人が育ち、会社が成長する仕組み」にはなりません。

今求められているのは、

経営と人、人と組織の間をつなぐ“2つの橋”を架けること。

そこに初めて、会社の未来と社員の可能性が重なり始めます。